Friday, December 23, 2016

③株式投資初心者のための財務分析 - 四季報編

1.決算書の基本
2.貸借対照表
3.損益計算書
4.キャシュフロー計算書
5.四季報をチェックする目的
6.四季報のチェックポイント
7.株主構成もチェック

8.財務分析-四季報編まとめ


『投資を行うにあたっての基本的な考え方は、株式を事業として見ること、市場の変動をうまく活かすこと、そして安全余裕率を見つけることである。これこそベン・グレアムが教えてくれた事だ。今から100年後においても、これが投資の判断基準であるに違いない』
ウォーレン・バフェット

これは私の尊敬するウォーレン・バフェット氏の言葉です。
投資を行う上で一番重要なのは株式を事業として見る事です。
・事業として、利益を出す事ができているのか?
・将来に渡って、利益を出し続ける事ができるのか?
・倒産の心配はないのか?

これらを四季報の情報から全体像をつかみます。
四季報とは別の言い方をするならば簡易版決算書です。
四季報の情報から財務分析をする為には、基本的な決算書の知識が必要になります。
まずは基本的な決算書の見方を説明して、それから本題である四季報の説明を致します。
決算書の基本的な知識がある方は飛ばして頂いて問題ありません。

財務分析と聞くと難しく考えがちですが、わかってしまえばそれほど難しくはありません。
見るべきポイントは決まっています。
では、これからそれらを、順を追って説明していきましょう。


1.決算書の基本
決算書は大きく分けて『貸借対照表』と『損益計算書』と『キャッシュ・フロー計算書』の3つの項目から成り立っています。


2.貸借対照表 
必ず左右が対照になる事から、バランスシート(Balance sheet、略称B/S)とも呼ばれています。

企業の財産(資産)・借金(負債)・自己資本(純資産)をまとめた表です。


バリュー投資の基本であるPBRの計算も、ここから行っています。
純資産=資産-負債になります。
その純資産を発行済株数で割ると1株資産が出ます。
その1株資産が株価より高ければ株価が割安と判断できるという事です。
仮に企業が倒産した場合には資産から負債を全額返還した後に残った資産を
株主全員で分配します。
企業は株主の物ですが、資産は株主とお金を貸している銀行のものです。
総資産から銀行の取り分を引いてさらに従業員への退職金を払って最後に残るのが純資産(実際は前後します)となります。

貸借対照表をみることで、企業が財産を不動産として持っているのか、現金や証券として持っているのか、借金は銀行から借りているのか、投資家から集めているのか等を確認できます。

3.損益計算書
Profit and Loss Statement P/Lと略される事もよくあります。
今期の企業の業績をあらわした表です。
本業の業績を表す営業損益の部と、副業の業績を表す営業外損益の部と、土地売却益や過去の損益計算書の修正益などの業績を表す特別損益の部から構成されています。

よく、今期は黒字決算です、赤字決算ですというのは損益計算書の利益があるのか無いのかを表しています。
企業の将来性を考えるためにも今期の業績は把握する必要があります。

上の表を簡単に解説すると
売上高(3000)から売上原価(2000)を引くと売上総利益(1000)になります。
*私がここで見ているのは比率です。売上に対しての売上原価の割合が高すぎると厳しい業界という事が推測できます。たまに製造業などで、売上に対して、製造原価が安く、すごい付加価値をつけて高額で販売されているんだろうなと推測できる企業があります。
売上総利益(1000)から販売管理費(800)を引くと営業利益(200)となります。
ここまでが営業損益の部となります。つまり本業での儲けです。
*ここでも同じ様に売上総利益に対する販売管理費の比率を見ます。
営業利益(200)から営業外収益(10)を足して、営業外費用(30)を引くと経常利益(180)が出ます。
ここまでが営業外損益の部となります。つまり本業外の収益を足した分です。
特別利益(14)から特別損失(10)を引いた残り(4)を経常利益に足すと税引前当期純利益(184)となります。
*この項目では短期的なのか永続的に発生する費用(もしくは収益)なのかを見ます。

そして法人税などの税金(64)を税引前当期純利益(184)から引き、最終的な当期純利益(120)となります。
最後に前期繰延利益(280)と今期未処分利益(200)をみます。
すべてが足し算引き算の世界なので、わかってしまうとすごく簡単です。
*四季報では太字で表示した部分以外は出て来ませんので細かい数字は決算書で確認する必要があります。

4.キャシュフロー計算書 
キャッシュフロー計算書は、実際のお金の流れを表したもので、これにより会社の実態を知ることができます。
キャッシュフロー計算書は、(※CF=キャッシュフロー)
・営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)
 本業での儲けを示す数字です。
・投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)
 文字通り投資による現金の流れを表します。工場の建設や設備購入などもここに入ります。
・財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)
 借金の返済や借入、新株の発行による資金調達などを表します。
の3つに分けられます。
 これらの計算書を読み解くことで、お金がしっかりまわっているかどうかという倒産リスクを見極め、会計期間の始めと終わりで、どれくらいお金の流れに変化があったのかなどを読み取ることができます。
それにより、会社のお金の状態がすべてわかります。
四季報ではトータルしか出てきませんのでそれほど難しく考える必要はありません。


左から順に『優良企業』と『積極的投資企業』と『厳しい企業』のそれぞれを並べてみました。
まず、1番左の『優良企業』ですが、営業CFが十分なプラスを出していて、その利益から投資CF分のマイナスを補い、なおかつ借金返済などの財務CFのマイナスに当てていることがわかります。しっかり利益を上げているからできるキャッシュフロー計算書です。

 次に2番目の『積極的投資企業』ですが、営業CFを超える投資をしています。営業CFだけではカバー出来ない投資CFのマイナスを、営業CFと借入などの財務CFのプラスで埋め合わせているのがわかります。
営業CFが少ないので、借金などの借入、つまりここで言う財務CFのプラスで資金調達を強いられている事がわかります。

 次に3番目の『厳しい企業』ですが、まず、本業の儲けを示す営業CFがマイナスです。
この数字から、本業で儲かっていないことがわかります。
この本業のマイナスを、財務CFのプラスと投資CFのプラスで埋め合わせしているのがわかります。
投資CFのプラスから手持ちの資産を現金化していること、さらに財務CFのプラスから借入などの資金調達も行っているという事などが推測できます。


5.四季報をチェックする目的
それは、全体のバランスを把握する事です。
投資対象として的確かどうかをスクリーニングで抽出した候補の中から、この四季報のチェック作業でさらに絞り込みます。

資産と債務のバランスは?
→企業の安全性を見ます。

現金と負債はそれぞれどれくらいあるか?
 →企業の利益率を見ます。割合が高い方が当然いい企業という事になります。1000万の売上に対して10万円の利益の会社よりも、同じ売上で100万円の会社の方が優秀な会社です。

売上に対しての営業利益はどれくらいの割合か?
→売上の下落にどれくらい耐えられるかの指標にもなります。当然比率は高い方が優秀な企業となります。
営業利益に対しての経常利益はどれくらいか?
→経常利益をみることで企業の弱点が見つけられる可能性があります
営業利益は低いのに経常利益が高い企業は本業が不振である可能性が高いですし、営業利益は高いのに経常利益が低い企業は多額の負債がある可能性があります。
さっとチェックするだけで危険な銘柄を掴んでしまうリスクを回避できます。

経常利益率が高い企業は、収益性が高いと言えます。
経常利益率が低い企業は、収益性が低いと言えます。

多額の有利子負債を抱える企業は金利の支払いのため
営業利益に比べ経常利益が大きく下がることがあります

株価に対して1株利益はどれくらいあるか?
→1株利益はPERの算出に使われるため信用のおける指標ではあるが、資産売却などによって変化しやすいですし、分母である株数に関係します。ですので、年数を追っていく必要があります。
ここまでが決算書の基本になります。
それでは実際の四季報を見てみましょう。





6.四季報のチェックポイント
以下は、名証1部銘柄のシーキューブです。 
現在の株価283円(2011,08,19時点)が割安かどうかを判断します。
作成日:2011年06月13日
1936   シーキューブ    しーきゅーぶ   [ 建設業 ]
【URL】http://www.c-cube-g.co.jp/

【決算】3月
【設立】1954.5
【上場】1974.11
【特色】NTT工事業者。NTT比率高い。東海で日本電話施設と競う。光関連、情報サービス等に注力
【連結事業】通信建設78(5)、情報サービス22(3)



【強含み】NTT向けはケーブル施設工事が伸びる。携帯基地局向け案件多いがLTEなど新分野加わり採算悪化。高成長の情報サービスは利益貢献少ない。営業微増益。投資有価証券評価損等の特損減少想定。
【業務受託】情報サービス子会社の水道料金徴収業務受託は東海以外の自治体へも拡大。12年3月グループ内の基幹システム統一、システム管理費用を年0・2億円削減。
【本社】460-0018名古屋市中区門前町1-51   TEL052-332-8000
【本店】名古屋 【支店】東京,関西,愛知,岐阜,三重,静岡 【営業所】名古屋東,春日井,名古屋南,東濃,中濃,高山,四日市,東部,中部
【従業員】<11.3>連1,811名 単664名(43.9歳)[年]586万円
【証券】[上]名古屋[幹](主)大和(副)東海東京,コスモ[名]三菱U信[監]あずさ
【銀行】三菱U,りそな,三菱U信,大垣共
【連結】フューチャーイン,シーキューブ愛知,シーキューブ静岡

【外国人持株比率】<11.3>0.8 <中10.9>1.1    


6-1.詳細情報
特に見ているのは以下の項目
【特色】NTT工事業者。NTT比率高い。東海で日本電話施設と競う。光関連、情報サービス等に注力
【連結事業】通信建設78(5)、情報サービス22(3)



【強含み】NTT向けはケーブル施設工事が伸びる。携帯基地局向け案件多いがLTEなど新分野加わり採算悪化。高成長の情報サービスは利益貢献少ない。営業微増益。投資有価証券評価損等の特損減少想定。
【業務受託】情報サービス子会社の水道料金徴収業務受託は東海以外の自治体へも拡大。12年3月グループ内の基幹システム統一、システム管理費用を年0・2億円削減。
この中では私は上から順にこのように判断しています。
・NTT工事業者 安定した響きがありますね。
・日本電話施設と争う。つまりライバルの存在ですね。
投資候補に入ったら、後で四季報くらいは最低限見ましょう。
・【強含み】 良い事も書いてあるし悪い事も書いてあります。細かくチェックしましょう。
今回のケースでは、「LTE」の意味がわからない等、知らない単語があればGoogleなどで検索をする癖をつけましょう。
LTEは一言で言ってしまうと携帯の新しい通信規格です。
・【業務受託】 良い事が並んでいますね。 高評価
ここではどういった業種なのか、またどういった状況なのかの全体像を把握します。

6-2.財務状況


これだけだとよくわからない方もいると思うので個別に説明していきます。


まずは財務とキャッシュ・フローの部分を見ます。 



重要なのは最初にも言いましたがバランスを見る事です。
総資産402.1億円
現金47.44億円
有利子負債 31.63億円
利益剰余金193.68億円
株主持分比率63.2%
株主持分の資産が253.97億円あります。
それに対して株価の指標である時価総額77億円。

わかる人は、ここまで見てきてかなりの割安企業であるというのがわかると思いますが、わからない方の為に、さらに順を追って説明していきましょう。
わかった方は飛ばして頂いて問題ありません。

総資産のうちの株主持分とは、他に銀行からの借金などもあるので、100%が株主の物ではありません。
ですから総資産402.1億円のうちの株主持分の63.2%の253.97億円が株主の分になります。

ポイントを抜き出すと以下のようになります。
総資産の63.2%=253.97億円
現金47.44億円>有利子負債 31.63億円(現金の方が多いので○)
時価総額77億円<株主持分資産253.97億円

株主持分資産に対して時価総額は安すぎますよね?
さらにプラスの要素として
利益剰余金193.68億円があります。
と言うことは、たくさん現金を貯め込んでいるだろうと推測できます。

ここまでの調査で財務は健全というのがわかります。
そして資産と債務のバランスにおいても優秀という事もわかりますね。
負債に対して現金の方が多いという事です。
*実際の決算書を見るときには買掛金などの負債も引き、売掛金などを足します。

6-3.キャッシュフロー
では次にキャッシュフローについて見ていきましょう。

営業CF 6億4500万円
投資CF -16億7500万円
財務CF -5億6400万円
*(カッコ内)は前年度です。
ここで、先ほどの表をもう一度見てみましょう。


どれに近いかと言うと積極的投資企業に近いですね。
昨年度もそうですが営業CFに対しての投資CFは大きすぎです。
昨年度はさらに現金調達をしていますね。
過去の業績が、優れていたのは、財務面を見る限り想像できますが、概要に書いてある様に、新設備のLTE負担が大きいのでしょう。今後調達コストなどが下がってくれば変わるかもしれないですが、そこまでは、この四季報の情報だけではわかりません。

6-4.損益計算書

私がこの項目で見ているのは、以下の項目です。
・売上に対しての営業利益の割合
これがあまりにも低いと売上がちょっと下がっただけですぐに赤字転落です。
・経常利益
これも基本は営業利益の割合と同じです。
・利益 
基本同じです。
・1株利益
これは現在の株価に対してどれくらいの1株利益があるかを見ます
過去数年間を同時に見られるので、平均して現在の株価(283円)の10%を超えているので投資先としては合格ですね。
銀行に預けていても10年で資産が2倍になる事などありえないですからね。
・配当
あってもなくても特に気にしません。
事業として成り立っていればよしとします。 
私は、基本的に配当や株主優待はおまけ程度で見ています。
四季報の損益計算書部分から、見るべき事は、横軸(それぞれの年度の業績)と縦軸の(年度ごとの)差を見ています。
売上は下がっているのに利益率が上がっていると、何かしらの経営努力で業績を改善しているのだろうと推測ができます。
また、売上は横ばいなのに利益率が下がっていたりすると、厳しい競争にいるのか余計な支出が増えているのだろうといった事も推測できます。

CFの動きだけを見ると通常は投資対象外ですが、この財務面は魅力的ですので、ここまでの調査で、私は保留して後ほど詳しく調査する候補に入れます。

7.株主構成もチェック
株主構成は、詳しく調べようと思った銘柄だけをみます。
株主、特に上位株主は、会社の未来を方向付ける非常に重要な要素となります。
ここでは株主構成から見る会社の見方をご紹介します。
 株主構成とは、その企業を実質所有している人たちのリストです。
社長や会長が株式の数十%を保有する筆頭株主で、上位株主にも同姓が多いなら、一族オーナー系企業の可能性が高くなります。
また取引銀行の場合も多いですね。

現在では、上場会社の上位株主には、外資系企業の名前が並ぶことは珍しくなくなりました。
こうした企業には、事業運営的な側面から資本提携を結んでいるということもあれば、純粋な投資目的として保有する場合もあります。
最近では、外資系投資ファンドが上位株主になることも珍しくありません。
外国人持ち株比率の高さは、日本の有望企業としての認知度が高いということの証明と言えるかもしれません。
 こうした外国人投資家は良くも悪くも非常に冷静です。
業績が伸びている間は、豊富な資金投入で株高を牽引しますが、いったん、その業績に悪化の色が見えると、あっという間に投下資金を引き上げてしまう場合もあります。
四季報の企業概要から簡単にチェックできますので、投資対象としての候補に挙がり最終的な絞り込みの段階では一度チェックする事をお勧めします。

8.財務分析-四季報編まとめ
まずは全体の流れを把握して投資対象として的確がどうかを絞り込んでいきます。
特に見るべきポイントの順番は
財務診断
キャッシュフロー計算書
損益計算書

スクリーニングで出てきた銘柄全ての決算書をチェックしていたら時間がいくらあっても足りません。 もちろんある程度判断できるレベルになるまでは決算書を多く見る事は経験に繋がりますので、数を見ることは必要です。

しかし、全部を見るのではなくポイントを絞って切り捨てる事も大事です。
数多くの銘柄の中からお宝銘柄の候補を見つけ出す。
これが四季報チェックの最大の目的になります。

投資家あおやま
2011年8月25日作成
私の株式投資法の全てを公開しています。
興味のある方は以下のリンクからどうぞ。
株式投資初心者のためのコピペ投資術・序章

①株式投資初心者のための戦略的投資計画

②株式投資初心者のための情報の選別法

③株式投資初心者のための財務分析 - 四季報編

コピペ投資術セミナー動画を公開

④株式投資初心者のための財務分析 - 決算書編

⑤株式投資初心者のためのコピペ投資術-総論

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